疾患を疑うポイント
●心窩部~上腹部痛,膨満感,悪心,嘔吐.
●ふらつき,めまいなどの貧血症状.
●激しい疼痛と筋性防御(穿孔例).
学びのポイント
●日本の胃・十二指腸潰瘍の原因は大部分がピロリ菌感染とNSAIDsあるいはLDAの内服である.
●胃酸分泌抑制薬と内視鏡治療の進歩により,死亡例・外科的治療を要する例は少なくなっている.
▼病態・定義
胃液中の胃酸・ペプシンといった粘膜攻撃因子と,表層粘液・重炭酸イオンといった防御系因子のバランスが破綻して生じる粘膜欠損である.粘膜筋板までの欠損はびらん,粘膜下層以深の欠損が潰瘍とされる.重篤な合併症として出血,穿孔,狭窄が挙げられる.
▼疫学
消化性潰瘍の患者数・死亡者数は減少傾向にあったが,ピロリ菌の除菌が保険適用となりさらに顕著に減少した.患者数は,胃潰瘍がピーク時の4割以下,十二指腸潰瘍が2割以下となっている.
▼分類
病期の分類として,活動期(A1/