診療支援
治療

(2)その他の細菌性腸炎
大川 清孝
(十三市民病院・顧問)

疾患を疑うポイント

●急性下痢の原因の約90%が感染性腸炎である.

●嘔吐と水様下痢がみられる急性胃腸炎は小腸型の感染性腸炎が多くを占め,ウイルスや細菌の毒素が原因である.

●大腸型の細菌性腸炎では血便,粘液便,発熱,テネスムスなどの症状がみられるが,潰瘍性大腸炎をはじめとした他疾患との鑑別を要する.

学びのポイント

●問診では,症状とその発現時期,食歴,周囲の人の様子,最近の旅行歴(特に発展途上国),最近の抗菌薬使用歴,基礎疾患の有無などを聞く.

●急性細菌性腸炎の原因,潜伏期,臨床症状の特徴などを病型別に把握しておく(表4-16)

▼定義

 急性細菌性腸炎は食中毒によるものと抗菌薬関連腸炎があるが,本項では前者について述べる.汚染された水や食物を介して感染する細菌性腸炎である.

▼病態

 発症機序は組織侵入性と毒素性がある.

組織侵入性

 粘膜上皮侵入型はカンピロバクターやサルモネラが代表であり,上皮細

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