疾患を疑うポイント
●BMI≧25で「肥満」と判定される.
●特徴的な顔貌,精神発達遅滞,性腺機能低下症などが遺伝性肥満の,薬剤服用歴や肥満以外の随伴症状に着目することがその他の二次性肥満の発見の端緒となる.
学びのポイント
●肥満はBMI≧25で定義される身体状況であり,それのみでただちに疾患に分類されるものではない.
●肥満に関連して発症する健康障害を有し,医学的に減量の必要な状態を「肥満症」とし,医療の対象となる〔本章「肥満症とメタボリックシンドローム」の項(→)参照〕.
●肥満のうち基礎疾患が明らかなものが二次性肥満であり,それ以外が原発性肥満(90%以上).
●肥満には,内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満があり,前者が合併症との関連が深い.
▼定義
肥満とは,脂肪組織が過剰に蓄積した身体状況で,body mass index(BMI)=体重kg/(身長m)2≧25kg/m2で定義される.BMI≧35を高度肥満とする.肥満のうち,基礎疾患が明らかなものが二次性肥満(症候性肥満)で,基礎疾患が明らかではなく主に環境因子によるものが原発性肥満(単純性肥満)である〔本項のトピックス参照〕.肥満はただちに疾患に分類されるものではない.肥満に関連して発症する健康障害を有し,医学的に減量の必要な状態を「肥満症」とし,治療の対象となる肥満とそうでない肥満が明確にされている.
▼病態
肥満は主に体脂肪の過剰蓄積であるが,その脂肪分布が病態を考えるうえで重要である.すなわち,男性に多い内臓脂肪蓄積型肥満と女性に多い皮下脂肪型肥満であり,前者が代謝異常につながりやすい.内臓脂肪は大網や腸間膜に付着している脂肪組織であり,絶食時に脂肪分解によりすみやかに肝臓に脂肪酸,グリセロールを供給するが,過剰な脂肪蓄積が起こると,同時に過剰な脂肪分解が起こり,リポ蛋白代謝異常,糖代謝異常につながる.成人期以降の過栄養は,