ざっくりわかる代謝・栄養疾患
この章では,代謝・栄養疾患を,大きく①糖代謝異常,②脂質代謝異常,③肥満症とやせ症(るい痩),④蛋白・アミノ酸代謝異常,⑤ビタミンの異常,⑥核酸代謝異常,⑦その他の代謝異常,の7つに分類しています(図6-1)図.
主に経口摂取によって消化管内に取り込まれた,糖質,脂質,蛋白質,ビタミンなどの栄養素は消化酵素などにより分解され,消化管から体内へと取り込まれます.取り込まれた栄養素は,エネルギーとして利用されたり,体内に必要な蛋白質や脂質に合成されるなどさまざまに生体を構成する成分へと形を変えていき,個体の生存や恒常性の維持などに利用されます.
栄養素が,消化管内で正しく分解され,生体内へと吸収され,諸臓器において利用あるいは貯蔵され,不要となったものは適正に代謝されて体外に排泄されていくことが重要ですが,いずれかの時点で障害が起こると,さまざまな疾患を引き起こすことになります.
最も頻度の高い代謝・栄養疾患には,生活習慣病としてよく知られている2型糖尿病→や脂質異常症,肥満症→などがあります.例えば,2型糖尿病では,過剰なエネルギーの摂取,ブドウ糖の取り込みや利用に必要なインスリンの膵β細胞における分泌の異常,腸管から分泌されるインクレチン分泌の異常,吸収されたブドウ糖の肝臓や筋肉,脂肪組織などでの取り込みや利用の異常,脂肪細胞から分泌されるアディポカインの分泌パターンの変化,インスリンの分泌や作用に関連する疾患感受性遺伝子の遺伝子多型,など種々の要素がその発症や病態の形成に影響を及ぼします.
このように,多因子によって引き起こされる疾患に対して,単独の遺伝子異常によって引き起こされる代謝疾患もあります.例えば2型糖尿病と同じように高血糖を引き起こす原因として,グルコキナーゼ遺伝子の異常→などが同定されています.
代謝・栄養疾患の診断と治療には,
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