疾患を疑うポイント
●健康診断などを契機に,白血球の増加が認められるが自覚症状の乏しい慢性期(chronic phase:CP)において多く診断される.
学びのポイント
●Ph染色体を伴う造血幹細胞レベルの異常による白血病.BCR-ABL蛋白の恒常的なチロシンキナーゼ活性化によって造血細胞が異常に増殖している.
●ABLチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ薬,ダサチニブ,ニロチニブが第一選択薬.
▼定義・病態
フィラデルフィア(Ph)染色体を伴う造血幹細胞レベルの異常による白血病.Ph染色体は9番染色体と22番染色体の相互転座の結果生じる染色体で,CMLの95%以上の症例に,急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)の15~30%(小児ALLでは約5%),および急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML)の1%未満の症例に検出される(図8-63図).
このPh染色体が転座によって形成される過程で9番染色体上のC-ABL遺伝子はその上流側に切断を生じ,22番染色上のBCR遺伝子と融合し,BCR-ABL型のキメラ遺伝子が形成され,BCR-ABL蛋白の恒常的なチロシンキナーゼ活性化によって造血細胞の異常な増殖をきたす.
▼疫学および分類
CMLは,慢性期(chronic phase:CP),移行期(accelerated phase:AP),急性転化期(blast crisis phase:BC)の3病期に分類され,本邦では85%以上が,他疾患フォローアップ中の採血や健康診断などを契機に,白血球の増加が認められるが自覚症状の乏しいCPにおいて多く診断される.
▼診断
CPでは,総白血球数の増加とともに,しばしば血小板数増加や好酸球,好塩基球の増加もみられる.自然経過では,CP(診断後約3~5年間),AP(約3~9か月
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