疾患を疑うポイント
●感染症治療中にRPGNやネフローゼ症候群を呈する.
●低補体血症.
●深部膿瘍,感染性心内膜炎(IE),脳室心房シャントなどの存在.
学びのポイント
●黄色ブドウ球菌感染ではIgAが優位に沈着した糸球体腎炎を呈する.
●糖尿病や悪性腫瘍などの背景疾患をもつ高齢の易感染性患者に多い.
▼病態
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(ブ菌)(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)感染に伴う糸球体腎炎は,当初MRSA独特の病態として1995年にKoyamaらによって報告された.しかし同様の糸球体腎炎はメチシリン感受性黄色ブ菌(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus:MSSA)でもみられること,これら黄色ブ菌感染に伴う腎炎は,蛍光抗体で糸球体メサンギウム領域~係蹄壁にIgAが優位に沈着することから,より広くIgA優位沈着性-感染関連糸球体腎炎(IgA infection-related glomerulonephritis:IgA-IRGN)と総称され,近年では成人の感染関連糸球体腎炎(IRGN)の代表疾患となってきた.臨床的に高度蛋白尿を伴う急速進行性糸球体腎炎症候群(rapidly progressive glomerulonephritic syndrome:RPGN)を呈することが多く重症である.50~70%の症例で低補体血症を認めるがMRSA感染の場合頻度が少ない.腎外病変として約30%の症例でIgA血管炎と類似した紫斑がみられる.腎組織所見は光顕上,溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal glomerulonephritis:PSAGN)に類似する管内増殖像とともに種々の程度の半月体形成を伴う.電顕上もPSAGNに類似した上皮下のhump
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