診療支援
治療

5 HTLV-1関連脊髄症
HTLV-1-associated myelopathy(HAM)
松浦 英治
(鹿児島大学大学院准教授・脳神経内科・老年病学)
髙嶋 博
(鹿児島大学大学院教授・脳神経内科・老年病学)

▼定義

 緩徐進行性でかつ対称性の錐体路障害所見が前景に立つ脊髄症.血液および髄液中HTLV-1抗体陽性.

▼病態

 HTLV-1は生体内ではほぼCD4陽性Tリンパ球に感染している〔第8章「成人T細胞白血病・リンパ腫」の項のトピックス参照),第11章「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染症」の項()も参照〕.感染リンパ球が脊髄に侵入し,ウイルス蛋白を発現するとこれに応答してマクロファージや細胞傷害性Tリンパ球が脊髄に侵入し炎症をきたす.病理学的には胸髄を中心に著明なリンパ球浸潤とマクロファージの活性化を認め,髄鞘染色では側索を中心とした淡明化を認める.

▼疫学

 日本にはHTLV-1ウイルス感染者(キャリア)が108万人おり,キャリアはその生涯を通じて0.25%にHAMを発症する.HAM患者は3,600人程度である(2007年).発症平均年齢は,男性54.8歳,女性50.6歳で男女比は1

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