診療支援
治療

(1)デュシェンヌ型,ベッカー型
Duchenne muscular dystrophy(DMD),Becker muscular dystrophy(BMD)
砂田 芳秀
(川崎医科大学教授・神経内科学)

疾患を疑うポイント

●動揺性歩行,腓腹筋肥大,Gowers徴候,著しい高CK血症を呈する男児・男性.

▼定義

 X染色体短腕Xp21.2にあるジストロフィン遺伝子変異によりジストロフィン蛋白が欠損して発症する進行性筋ジストロフィー.

▼病態

 ジストロフィンは筋鞘膜直下に局在する分子量42万7,000の巨大な桿状蛋白で,ジストログリカンやサルコグリカンとともにジストロフィン糖蛋白複合体を形成する.この複合体は細胞内のアクチン線維と細胞外基底膜成分ラミニンをつなぎ,筋収縮に伴う機械的ストレスから筋鞘膜を保護している.ジストロフィンが欠損すると正常な複合体が形成されず,筋鞘膜が脆弱化して筋細胞が変性・壊死に陥る.

 ジストロフィン遺伝子変異の60%がエクソン欠失,10%が重複,30%が微小変異である.エクソンの欠失でフレームシフトが生じればDuchenne(デュシェンヌ)型(DMD)となり,インフレームの

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