診療支援
治療

4 クレブシエラ感染症
infection caused by Klebsiella spp.
松本 哲哉
(国際医療福祉大学主任教授・感染症学)

▼定義

 クレブシエラ属の菌はグラム陰性桿菌で腸内細菌科に属しており,ヒトの腸管内の常在菌である.肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)が臨床的に最も重要な菌種であり,腸内細菌科のなかでは大腸菌に次いで多く分離されている.また,クレブシエラ属のなかではK. oxytocaも感染症の原因菌として分離されることがある.

 肺炎桿菌は呼吸器感染症尿路感染症,および肝・胆道感染症の主要な起炎菌であり,菌血症敗血症も起こしうる.

▼病態

 肺炎桿菌が有する莢膜は本菌の重要な病原因子であり,好中球やマクロファージによる貪食に抵抗性を示す.本菌は腸内細菌科細菌として,誰もが腸管内に保有している細菌であるが,腸管内に存在する状況では病原性を示すことはなく,なんらかのきっかけでほかの部位に侵入した際に感染症の原因となりうる.

肺炎,肺化膿症

 本菌による肺炎は,アルコール多飲,糖尿病,慢性閉塞性肺

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら