診療支援
治療

7 ラテックスアレルギー
latex allergy(LA)
白田 阿美子
(横浜市立大学・皮膚科)
相原 道子
(横浜市立大学教授・皮膚科)

疾患を疑うポイント

●天然ゴム製品に接して,数分程度で,多くは接触部位に限局してじん麻疹を形成する.まれに,アナフィラキシーに至ることもある.

学びのポイント

●LAとは,ラテックス中に含まれる蛋白質に,主に経皮的に感作され,ラテックス特異的IgE抗体が体内で産生されることによって起こる.

●ラテックスアレルゲンとバナナなどのフルーツアレルゲンは,交差反応を起こすことが知られ,ラテックス-フルーツ症候群(latex-fruit syndrome:LFS)とよばれる(図12-12)

▼定義

 天然ゴムのラテックス中に含まれる蛋白質に,感作されて起こる,即時型アレルギー反応

▼病態

 ラテックスは,ゴムの木から得られる樹液であり,多くの蛋白質(アレルゲン)を含んでいる.天然ゴム製品は,このラテックスを加工してできるが,最終のゴム製品にもアレルゲンは残留する.

 天然ゴム製手袋を使用した場合,手の汗で水溶性であるアレルゲンが溶出し,手袋にまぶしてあるパウダーにより皮膚に傷がつくことや手湿疹の存在により,アレルゲンが侵入しやすくなり,経皮的に感作が成立する.また,天然ゴム製手袋装着時などにパウダーに付着したアレルゲンを吸入し,経気道的に感作が成立する.これらは,製品内のラテックスアレルゲンの存在と,天然ゴム製品に曝露されやすい状況と,個体の皮膚バリア機能の低下が重なることで,感作が成立することを示している.

 感作が成立した個体に,再びラテックスアレルゲンが接触し,吸収されると,アレルゲンは,血液中や組織中のマスト細胞および好塩基球上のラテックス特異的IgE抗体に結合する.すると,マスト細胞,好塩基球からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され,これらが血管透過性を亢進させ,真皮に浮腫が生じ,じん麻疹が形成される.多くは接触した部位に限局したじん麻疹であるが,強く反応すると全身のじん麻疹となる.ヒ

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