疾患を疑うポイント
●末梢血の好酸球数が,1,500/µL以上を6か月以上持続し,さまざまな臓器障害を呈す.
▼定義
好酸球の増加を持続的に認め,活性化した好酸球が広範な臓器障害を及ぼすことから,さまざまな症状を呈する.アレルギーや寄生虫感染などによる二次的な好酸球増多を除外する.原因が不明の場合には,狭義の特発性好酸球増加症候群(idiopathic hypereosinophilic syndromes:HES)と定義する〔第8章「好酸球増加症候群,好酸球性白血病」の項(→)も参照〕.
▼病態
好酸球の増殖と活性化をきたすサイトカインはインターロイキン(IL)-3,IL-5,顆粒球単球コロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor:GM-CSF)が代表的である.実際に,異常T細胞クローンからの過剰なIL-5産生による症例も報告されている.また,染色体4q12上で生じた間質性欠失(interstitial deletion)によるFIP1-like-1(FIP1L1)-platelet derived growth factor receptor alpha(PDGFRα)融合遺伝子を発現している症例も認め,チロシンキナーゼの恒常的な活性化があり,好酸球が増殖する.HES患者において,FIP1L1-PDGFRα融合遺伝子陽性を疑う所見を表12-11図に示した.その他,8トリソミーやABL遺伝子の転座を含めたさまざまな染色体異常が報告されている.さらに,急性白血病に伴うものも認めている.
▼疫学
まれな疾患であり,主に20~50歳で発症することが多い.男女比は,9:1と男性に多く認められるが,小児での性差は,少ないとされている.
▼診断・分類
末梢血の好酸球数が,1,500/μL以上を6か月以上持続し,さまざまな臓
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