診療支援
治療

6 若年性特発性関節炎
juvenile idiopathic arthritis(JIA)
森 雅亮
(東京医科歯科大学教授・生涯免疫難病学)

▼定義

 16歳未満に発症し,少なくとも6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎.近年では,治療や治療反応性に関して,①全身型,と②関節型の2つに分けて管理している.

▼病態

全身型

 自然免疫の異常を背景とし,全身性の炎症を繰り返す自己炎症性疾患と考えられ,インターロイキン(interleukin:IL)-1,IL-6,IL-18などの炎症性サイトカインの過剰産生が深く病態に関与している.病勢が進行するとマクロファージ活性化症候群病態へ移行する.

関節型

 免疫学的背景に環境因子がトリガーとして働き,軟骨由来の自己抗原に対する自己免疫疾患と考えられている.関節局所では,炎症細胞の浸潤と滑膜組織の増殖による関節軟骨ならびに骨組織の破壊を認め,これらの炎症反応に,炎症性サイトカインが関与する.

▼疫学

 有病率は本邦では小児人口10万人対10~15人であり,欧米の有病率と差異はない.しかし,発症病型ごとの頻度には差を認め,本邦では全身型関節炎とリウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)陽性多関節炎が多いことが判明している.

 主要な発症病型別の性差と発症年齢のピークは,全身型(性差なし)1~5歳,少関節炎(男女比=1:3)1~2歳,RF陰性/RF陽性多関節炎(男女比=1:4)1~3歳と小児期後期で,少関節炎と多関節炎は女児に多い.

▼分類

 国際リウマチ学会と世界保健機関の主導で1994年に提案され,引き続き1997年に修正された後に2001年の改訂に至っているが,その分類亜型には7病型がある(表13-11)

▼診断

 正確に診断する単一の検査方法は存在しないため,患児の訴える症状が,特徴的な所見であること,それがほかの疾患と鑑別されることから総合的に診断する.

全身型

 弛張熱または間欠熱,リウマトイド疹(瘙痒を伴わない,発熱にみられるサーモンピンク色の皮疹),関節炎を主徴とす

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