疾患を疑うポイント
●頭痛(側頭部)の出現.
●50歳以上で高熱を伴わない原因不明の高CRP血症.
●リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)による筋痛や上肢挙上困難を合併することが多い.
学びのポイント
●頭蓋外分岐した頸動脈の中型血管における原因不明の炎症.
●IL-6が病態の重要な役割を担っている.
▼定義
原因不明の血管の炎症により浅側頭動脈や眼動脈などの頸動脈の頭蓋外分岐の血管が侵される疾患.炎症により肥厚した動脈壁の中に多核巨細胞が観察されることから巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)ともよばれる.大動脈や鎖骨下動脈が侵されることもあり,高齢発症の高安動脈炎との鑑別が困難なことがある.
▼病態
高安動脈炎とGCAの鑑別は容易でないが,高安動脈炎が動脈中膜外側の炎症を中心とするのに対してGCAは中膜内膜側に炎症が観察される.
▼疫学
人種による発症率に差があり,わが国における発症率は0.65人/10万人と推測されている.
▼診断
以下を参考とする.
➊米国リウマチ学会(ACR)による分類基準(1990年)
①50歳以上
②頭部に限局して新たに出現したまたは新たな種類の頭痛の出現
③側頭動脈の触診時の圧痛または拍動減弱
④赤沈亢進(≧50mm/時)
⑤動脈生検の異常所見(血管炎所見のなかに主に単核細胞浸潤,または肉芽腫性炎症があり多核巨細胞を認める)
上記の5項目中3項目以上認めればGCAと分類する.
➋側頭動脈炎診断基準
悪性関節リウマチ・結節性動脈周囲炎研究班(旧厚生省特定疾患報告書)
1)主要症状
①頭痛,②視力障害,③側頭動脈の発赤・腫脹・疼痛・索状肥厚・拍動減少など.
2)組織所見
血管炎(GCA)の組織所見が認められる.
3)診断基準
主要症状の少なくとも1項目と組織所見があれば「確定的」とする.
主要症状の③のいずれかを含み
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