疾患を疑うポイント
●炎症性腰背部痛の所見がポイント.
●関節炎,指趾炎,付着部炎に加えぶどう膜炎,乾癬,炎症性腸疾患なども合併することがある.
▼定義
強直性脊椎炎(AS)は,脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)に分類される疾患の1つで,背部の慢性炎症性関節炎で,仙腸関節炎に加え脊椎およびその近傍の軟部組織の炎症を特徴とする.それに加え,ASは,股関節,膝,肩などの末梢関節炎,および,関節外症状として,眼,腸,皮膚,心臓などを侵すことがある.
▼病態
SpAに共通するASの病態は,関節または脊椎の骨に靱帯,腱,関節包が付着する部位の炎症(付着部炎)である.付着部の炎症が二次的に関節炎をきたし,骨破壊や骨新生を惹起し,長期に持続すると非可逆性の関節破壊や強直をもたらす.
▼疫学
わが国のHLA-B27陽性率はきわめて低く(約0.3%),AS有病率は,0.01%と報告されていたが昨今の治療の進歩,認知度が高まりSpA全体ではまれな疾患ではない.男女比で,3:1~9:1の割合で男性に好発し,発症年齢は,40歳未満がほとんどで,罹患率のピークは,20~30歳である.
▼分類
SpAは,以前は血清反応陰性脊椎関節症あるいはHLA-B27関連脊椎関節炎といわれた疾患群で,リウマトイド因子(血清反応)陰性の脊椎(spondylo-)や末梢関節を侵す炎症性関節炎(-arthritis)疾患である.AS,乾癬性関節炎,炎症性反応性関節炎,腸炎関連関節炎,分類不能脊椎関節炎(undifferentiated SpA:uSpA)に分けられる.
▼診断
ASは,ニューヨークのAS診断基準(1984年に修正)が通常診断に使われる(表13-20図).さらにより早期に同定するためのSpAの分類基準が2009年に発表された(表13-21図).
➊臨床症状
症状はSpAの各疾患によって若干異なるが,関
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