【疾患概念】
高エネルギー外傷(交通事故,労働災害など)により,主要動脈が損傷を受けると,そこから末梢に血行不全が生じるため,すみやかな診断と治療が要求される.放射線科医,血管外科医,微小外科医といった専門医との連携が不可欠である.
【臨床症状】
古典的な5P(pain,paleness,paralysis,paresthesia,pulselessness)は揃わないことも多い.本幹の損傷でも,その中枢からの側副血行路が存在すると完全阻血にならないことも多いからである.そのような場合に放置されると,末梢が完全壊死には陥らないものの,血流供給不足で間欠跛行のような症状が残る場合がある.開放骨折であれば,その骨折断端による損傷を疑う.閉鎖性骨折であれば,動脈損傷の好発部位があるので(上腕骨遠位,脛骨近位),その骨折では注意を払う必要がある.
診断のポイント
身体所見で重要なのは,末梢の動脈拍動が