【疾患概念】
四肢や体幹において骨や筋膜,骨間膜に囲まれたコンパートメント(区画)の内圧が上昇し,筋肉や神経などの組織の循環障害を生じた状態である.循環障害が発生すると2時間以内に筋肉の壊死が生じ,6~8時間が経過すると筋肉や神経に不可逆的な阻血性障害が生じるとされるため,早期の診断,治療が必須である.骨折や血管損傷などの外傷が原因となることが多く,好発部位は下腿や前腕であるが,手や足,大腿などにも発生する.本項では急性型のコンパートメント症候群について述べる.
【病態】
コンパートメントの容積の減少(圧迫や牽引)あるいは,コンパートメントの内容の増加(出血や阻血後の再潅流)によって生じる.なお下腿には4つの,前腕には3つのコンパートメントが存在する(図2-12図,図2-13図).
問診で聞くべきこと
外傷を契機に発症することが多いため,受傷機転や受傷時期について聴取する.また,血友病や血管脆