診療支援
治療

高尿酸血症・痛風
Hyperuricemia,Gout
益田 郁子
(十条武田リハビリテーション病院 部長(リウマチ科)〔京都市南区〕)

【疾患概念】

 痛風は日常臨床の場で,最も遭遇する頻度の高い急性関節炎である.背景には尿酸の代謝異常による持続する高尿酸血症(>7.0mg/dL)があり,そのために関節やその周囲組織に尿酸一ナトリウム(monosodium urate;MSU)結晶が析出沈着し,そのMSU結晶により引き起こされた急性関節炎あるいは滑液包炎(痛風発作)である.また,高尿酸血症・痛風は腎障害をはじめ多くの隠れた内臓合併症を抱える場合が多く,放置すれば生命予後の短縮にも関係するため,その診断や治療,患者への説明・生活指導も含めて対応には多職種・多科連携も必要な疾患である.

【臨床症状】

 通常,痛風関節炎は,①中年男性に好発,②24時間以内にピークに達する激烈な急性疼痛,圧痛,熱感,発赤,腫脹をきたす急性単関節炎,③下肢関節(特に母趾MTP関節)の罹患,④数日から遅くとも2週間ほどで自然軽快し発作間欠期がある,⑤背景に高尿酸血症の存在,⑥無治療なら次第に発作が頻発・慢性化し痛風結節を生じる,などの特徴的臨床像を示す.しかし,発作は比較的短期間で消退するため,典型的な発赤や腫脹などの臨床症状が診察時に消失している場合や,発作中の血清尿酸値(UA)は発作前より低値となることがあり,注意が必要である.母趾MTP関節の発作が約70%で,足関節,足背,アキレス腱,膝など下肢が多いが,まれに手関節や手指,肘(特に滑液包)など上肢にも起こることがある.原因治療をせず慢性痛風になると生じる痛風結節は,皮下のMSU結晶の塊であり,この存在は確定診断になる.結節はさまざまな部位(足や手,アキレス腱や肘頭・耳の皮下など)に生じ,時に自壊してチョーク様の結晶塊を排出する.慢性痛風・痛風結節は二次的に変形性関節症をきたし,ADL障害を起こす.女性で利尿薬の使用患者において,手指の痛風結節を生じることが知られている.


問診で聞くべき

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