IgG4関連疾患は,血清IgG4値の上昇とIgG4陽性形質細胞のびまん性浸潤と線維化からなる腫瘤性・結節性・肥厚性病変を呈する慢性疾患である.涙腺・唾液腺,膵臓を二大好発臓器とし,胆管,腎臓,後腹膜・大動脈周囲,肺に病変が出現することが多い.20世紀までは涙腺・唾液腺病変はMikulicz病,膵病変は自己免疫性膵炎と呼称されていたが,IgG4をキーワードに共通の特徴を有する病変が形成されることがわが国からの報告で明らかになり,独立した疾患概念として確立した.
病因は不明であるが高IgG4血症,高ガンマグロブリン血症や低補体血症の存在,迅速なステロイドへの反応性から,基盤に免疫異常の存在が想定される非腫瘍性・非感染性疾患である.IgG4の病因的意義は定まっていないが,自己抗体として抗ラミニン511抗体や抗ガレクチン3抗体が報告され,自己免疫機序が注目されている.大規模な疫学研究は行われておらず,正確な発症率・罹患率は不明であるが,国内の患者数は1万人以上と推測される.発症年齢は60歳前後にピークがあり,男性に多い.
発熱などの全身症状はまれで,罹患臓器の腫大による局所症状が主体である.涙腺・唾液腺炎による容貌変化,膵腫大・胆管炎での黄疸,後腹膜線維症による水腎症などの症状・症候が診断のきっかけになる.また,無症候性の高蛋白血症や画像診断での好発臓器の腫大からIgG4関連疾患がみつかることもある.関節痛などのリウマチ症状はみられない.IgG4関連疾患は指定難病となっており,診断は包括診断基準,ないしは臓器ごとの診断基準に従うが,原則は高IgG4血症(135mg/dL以上)と病変部にIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を認め,悪性腫瘍などが除外されることである.
治療の第一選択はグルココルチコイドである.投与開始2週間以内に病変の著明な縮小を認めることが多く,一次無効はまれとされて
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