診療支援
治療

若年性特発性骨粗鬆症
Idiopathic juvenile osteoporosis
藤澤 佑介
(東京大学医学部附属病院(小児科))

【疾患概念】

 若年性特発性骨粗鬆症(idiopathic juvenile osteoporosis;IJO)は思春期前の健康な小児に発症するまれな疾患であり,Dentらによって1965年に初めて報告された.全身性の骨密度低下により,椎体や長管骨の病的骨折をきたす.思春期発来後数年の回復期を経て自然に軽快するself-limitingな経過を特徴とするが,一部には脊椎側弯や胸郭の変形などの永続的な後遺症を残す例もあり,成人期にも易骨折性をきたした報告もある.

 若年性特発性骨粗鬆症の病因は明らかになっていない.血清Ca,P,ALPは通常正常であるが,Caのin-outバランスが発病初期には負に,回復期には正になっているという報告や,1,25-(OH)2Dの低下との関連性の報告,カルシトニンの低下が関与しているという報告などがある.臨床経過と思春期との関連からはゴナドトロピンやエストロゲン,テストステロンをはじめとしたホルモン分泌の変化が発症に関与していることが示唆されるが,疾患と特定のホルモンとの関連については不明である.

 易骨折性をきたす若年性特発性骨粗鬆症の患者に対して,ビスホスホネートによる治療が有効であるとの報告が複数なされている.性ホルモンやカルシトニンなどのその他の治療については,いずれも確たる有用性は報告されていない.Baroncelliらは若年性特発性骨粗鬆症の患者9人を対象にパミドロン酸二ナトリウム(pamidronate)の治療効果を検討するRCTを行い,pamidronateによる治療群と非治療群とを比較して,治療群において有意に骨密度の上昇と骨折率の低下を認め,回復期の開始を早めたことを報告している.

【臨床症状】

 四肢の痛みや背部痛を認め,重症例では痛みや近位筋の筋力低下により歩行困難を認める.骨強度が低下しており,軽微な外力によって骨折を生じる.脊

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