診療支援
治療

頚部脊髄障害のとらえ方/診断手順
Neurological diagnosis of cervical myelopathy
寒竹 司
(山口労災病院脊椎・脊髄外科 部長〔山口県山陽小野田市〕)

【概説】

 圧迫性頚髄症は静的圧迫因子,動的圧迫因子,循環因子などの複数の因子が関連して発症するとされているが,その病態は完全には解明されていない.圧迫性頚髄症の診断では臨床症状,神経学的所見から高位診断を行い,MRIなどの画像による脊髄圧迫レベルと障害高位が一致するかを確認することが重要である.臨床所見と画像所見の不一致がある場合は,神経内科疾患などの鑑別疾患を念頭に置いて,鑑別診断を行う必要がある.


1.病態

 圧迫性脊髄症の発症には,主として①静的因子,②動的因子,③脊柱管狭窄因子,④循環因子の4つの因子が関与するとされている.しかし,4つの因子がどのように関連して脊髄症を発症するのか,またどのような機序で脊髄に選択的な病変を生じるのか,いまだ完全に明らかになっていない.主な慢性脊髄圧迫障害の原因疾患としては,頚椎症性脊髄症,後縦靱帯骨化症,黄色靱帯骨化症,脊髄腫瘍などがある.

 脊髄症の症

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