診療支援
診断

頭部画像診断
Neuroimaging for Brain Diseases
土屋 一洋
(埼玉医科大学総合医療センター教授・放射線科)

頭部CTおよびMRIの正常像のポイント

【1】CT

❶単純CT:正常の白質は灰白質〔皮質および基底核・視床(いわゆる深部灰白質)〕より低吸収を示す(図1)。これは主に白質の髄鞘の脂肪成分を反映する。脳室などの髄液:低吸収を示す。

❷造影CT:動静脈系全般のほか,脈絡叢,硬膜(大脳鎌など),下垂体などに増強効果がみられる。

【2】MRI

❶T1強調画像で白質は灰白質に比し高信号,T2強調画像では逆に低信号を示す。髄液はT1強調画像やFLAIR像では低信号,T2強調画像では高信号を示す(図2)。

❷造影T1強調画像での増強効果はCTと異なり正常流速の頭蓋内動脈にはみられない。流れの遅い静脈系や,血液脳関門を欠く脈絡叢,硬膜,下垂体,松果体などに増強効果がみられる。

【3】血管造影

❶MRアンギオグラフィ(MRA):脳内血管を無侵襲で描出可能である。動脈系を対象としたtime-of-flight(TOF)法のMRAが頻用されている(図3)。

❷CTでもヨード造影剤の急速静注とスキャンのタイミングを合わせたCTアンギオグラフィ(CTA)によって同様の画像が得られるが,被曝や造影剤の使用のためやや侵襲がある。

検査の適応

【1】CTが優先される病態

❶治療開始までの時間的猶予が少ない脳血管障害や頭部外傷ではCTが第1選択である。

❷脳血管障害のうち,何らかの症状をきたした急性期の脳内出血はほぼ100%がCTで診断できる。

❸くも膜下出血も典型例の診断はCTで容易であるが,出血量の少ない場合や発症から検査まで時間が経過したものでは診断が難しいことがある。また超急性期の脳梗塞は後述のように直接所見が得られにくい。

❹頭部外傷における頭蓋の骨折の診断にもCTが有用である。

【2】MRIが優先される病態

❶ 【1】のようなCTの有用性の高い病態以外,すなわち脳腫瘍,脱髄疾患,感染症・炎症,変性疾患,先天奇形ではMRIの

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