診療支援
診断

耳痛
Otalgia, Earache
中川 尚志
(九州大学大学院教授・耳鼻咽喉科学分野)

診断のチェックポイント

 耳介周囲を含め,外耳と鼓膜,口腔咽頭,特に上咽頭所見,脳神経症状の有無,開閉口に伴うクリック音を診察のうえ,純音聴力検査,眼振など平衡機能検査,側頭骨/顔面CT,頭部/顔面MRIを併せて,総合的に診断する。

【1】病歴

❶いつから,どこが痛いのか,どのような性状であるかを確認する。

❷小児で発熱を伴っている,上気道炎の後に生じた(→急性中耳炎)。咽の痛みを伴っている(→咽頭炎の放散痛)。日内変動があり,夜間に増悪する,我慢できないような痛み(→悪性外耳道炎)。耳介を牽引すると増悪する,もしくは耳かきの習慣がある(→外耳炎)。咀嚼との関連がある(→顎関節症)。

❸耳漏を伴っているか,またそれはどのような性状か,どのようなときに耳漏を自覚するか,難聴やめまいを伴っているか,顔を動かしにくくないかを確認し,身体所見や検査所見の参考にする。

【2】身体所見

❶外耳道の皮膚と耳介,外耳孔を観察する:傷がある場合は線状であるか,どの部位にあるかに注意する。皮疹がある場合はその分布,膿疹などの性状,紅斑を伴っているかを観察する。皮膚の発赤の有無およびその範囲,びらんがあるか,耳漏を伴っているか,血性であるかどうか,腫脹の有無およびその範囲,腫脹している部位の皮膚の性状を確認する。

❷鼓膜の色調,その範囲,膨隆および陥凹の有無,中耳腔に透見される所見はないかを観察する:穿孔がある場合はその部位,穿孔辺縁の性状,穿孔より観察される中耳内部の所見として上皮の侵入や真珠腫塊の形成,中耳内側壁の粘膜所見や分泌物の有無をチェックする。

❸耳周囲の皮膚の色調,腫脹,びらん,分泌物の有無,リンパ節腫脹が触診されないかを観察する。

❹口腔咽頭に炎症所見や腫瘤性病変がないかをチェックする。口腔咽頭疾患の放散痛であることがある。また粘膜疹や軟口蓋,声帯の動き,カーテン徴候(→Ramsay Hunt症候群

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