緊急処置
【1】嘔吐が主体であったり,めまいのみと判断されたりして,小脳,延髄部の脳卒中を見落とすことがある。特に後頭蓋窩はMRIでの拡散強調画像の変化が現れるのが遅いので留意すること。常に,後頭蓋窩の脳卒中の可能性を念頭におく。後頭蓋窩の脳卒中は,脳ヘルニアの進行や,血管病変の進行による急変の可能性がある。特に延髄外側症候群は見落とされやすい。原因に基づいた急性期の対処をする。
【2】歩行時のふらつきに,眼球運動障害を認めたら,Fisher症候群の可能性を念頭におく。本症は,予後良好であるが,一部,脳幹脳炎に進展することがある。免疫グロブリン大量療法が奏効する。
診断のチェックポイント
●定義:運動失調は,運動麻痺と明確に異なる。特徴は,運動の円滑さの喪失,運動の中断である。失調には,慣れ親しんだ獲得した運動が分解する側面と,体性感覚からの情報の乱れにより,維持運動が乱れる側面がある。小脳および