診療支援
診断

異常心音・心雑音
Extra Heart Sound, Heart Murmur
磯部 光章
(榊原記念病院・院長/東京医科歯科大学名誉教授)

[Ⅰ]心音の異常

診断のチェックポイント

【1】Ⅰ音の異常

❶亢進・減弱

徐脈の際にそれまで弱かったI音が突然大きくなる(大砲音)場合は,徐脈の原因が完全房室ブロックである。

Ebstein奇形例では,右室興奮の遅れによりI音は幅広く分裂し,三尖弁前尖が大きく可動性があれば,三尖弁成分の音が大きくなる。

心拍出量低下やPR延長の際にI音は減弱する。

❷収縮早期音

大動脈・肺動脈駆出音

大動脈駆出音を認める疾患としては,大動脈弁狭窄,大動脈二尖弁,大動脈硬化,高血圧症,大動脈瘤,大動脈弁閉鎖不全などがある。

肺動脈駆出音は肺動脈弁狭窄,肺高血圧をきたし肺動脈拡張を生じる疾患(Eisenmenger症候群が典型的)などで認められる。

収縮中期~後期音

僧帽弁逸脱(MVP)での収縮期クリックである。

呼吸や体位などによりその発生時期が移動する。

複数のクリックが聴取される場合がある。

【2】Ⅱ音の異常

❶分

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