緊急処置
【1】食道胃静脈瘤出血:出血性ショックからの回復を目的に輸血や輸液を行い,血圧を安定させ,緊急内視鏡検査による止血処置を行う。食道静脈瘤出血には内視鏡的静脈瘤結紮術を,胃静脈瘤出血にはHistoacryl®を用いた内視鏡的硬化療法を行う。内視鏡的に止血困難な例ではSengstaken-Blakemore tube(SB-tube)の使用を検討する。
【2】肝性脳症による意識障害:ラクツロースと微温湯を用いた浣腸(保険適用外)による腸管洗浄や分岐鎖アミノ酸製剤の点滴により意識の回復をはかる。
【3】門脈血栓症:急速に血栓が形成され,門脈本幹が閉塞した場合は,ショック,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC),肝不全などを生じる。ヘパリンおよびその類似物質,ワルファリン,アンチトロンビンⅢ製剤を用いた抗凝固療法を主に行う