診断のポイント
【1】30歳台後半~40歳台前半で発症(小児例,高齢発症もまれではない)。
【2】女性。
【3】視神経炎による視覚障害や横断性脊髄炎による対麻痺,膀胱直腸障害。
【4】難治性吃逆や嘔気・嘔吐などの最後野障害。
【5】抗AQP4抗体陽性。
緊急対応の判断基準
【1】急性発症の視神経炎,横断性脊髄炎に対しては早急にステロイド・パルス療法を検討する。
【2】上記が奏効しなかった場合は,パルス療法を繰り返さずに血液浄化療法を行う。
症候の診かた
【1】急性発症の視神経炎による失明や視野障害をきたす。水平性半盲はNMOSDに特徴的な所見。
【2】脊髄長大病変に伴う横断性脊髄炎により,病変レベル以下の全感覚障害,対麻痺,四肢麻痺,膀胱直腸障害を呈する。後遺症として,病巣レベルに有痛性強直性攣縮(painful tonic spasm)や温痛覚過敏,締めつけ感やかゆみ発作をきたす。中枢病変による痛覚過敏は,楊枝で刺激すると異常感覚が拡散するような所見が特徴的。
【3】中脳水道や延髄背内側を中心とする脳幹病変はNMOSDで特徴的に病変を認める部位。延髄背側の最後野は難治性吃逆や嘔吐の原因となる。吃逆や嘔気・嘔吐を認めたNMOSD患者の多くは数週間以内に脊髄炎をきたすことから,再発の予兆として重要。
【4】大脳病変は第3・第4脳室周囲,中脳水道周囲,間脳・視床下部で頻度が高く,基底核,脳梁,皮質近傍,深部白質にも病変を認める。間脳・視床下部病変はナルコレプシーや抗利尿ホルモン(ADH)分泌異常症,高プロラクチン血症などが知られている。特にナルコレプシーによる過眠やADH分泌異常症に伴う低ナトリウム血症による意識障害はNMOSDらしい症候。
検査所見とその読みかた
【1】画像検査:脳・脊髄造影MRI〔T2強調,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)〕が重要である
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