診断のポイント
【1】急性あるいは亜急性に進行する作業記憶障害,短期記憶障害,意識変容,傾眠,性格変化,精神症状。
【2】新規の局所神経症候,新規のけいれん発作。
【3】髄液細胞数増多(5/μL以上)および脳炎を示唆する頭部MRI所見。
【4】他疾患(感染性脳炎など)の除外は重要であるが,自己免疫性脳炎・脳症の前に感染性脳炎が先行するケースもあることに留意。
【5】自己抗体の検査結果の確認は,治療開始の前提にはならない。
緊急対応の判断基準
中枢性低換気から人工呼吸器を要する場合や,難治性けいれん発作を伴う場合があり,状況に応じて集中管理・治療が可能な脳神経内科医の在籍する中核病院へ搬送する必要がある。
症候の診かた
症候は辺縁系脳炎とびまん性脳炎で大きく異なり,さらに関与する自己抗体の種類によって異なる。
【1】辺縁系脳炎:精神症状,けいれん,意識障害,記銘力障害などの症候を示すことが多い。
【2】びまん