診断のポイント
【1】定期検査による早期発見。
【2】薬物服用と肝機能障害との相関性
❶服薬開始から60日以内が多い。
❷服薬中止で改善(まれに継続)。
❸偶発的再投与。
【3】発熱,発疹,倦怠感,嘔気,食思不振。
【4】漢方薬,健康食品の使用歴。
【5】除外診断。
緊急対応の判断基準
【1】プロトロンビン時間(PT)%が40%未満,PT-INR 1.5以上。
【2】直接型優位で総ビリルビン(TB)値2.0mg/dLを超える(普段正常の人)。
【3】肝性脳症,腹水,出血傾向の出現。
【4】Hy's law〔ALT値正常上限値(ULN)≧3倍かつTB値ULN≧2倍〕(10%の死亡率)。
【5】アルブミン値,コリンエステラーゼ値の低下。
症候の診かた
【1】機序により,intrinsic(中毒性)障害,idiosyncratic(薬物特異体質性)障害に分けられ,後者はさらにアレルギー(中間代謝物に対する獲得免疫)性と遺伝的異常薬物代謝によるものに分類する。
【2】慢性飲酒者で生じやすい。
【3】発疹や好酸球増加などが伴うウイルス性急性肝障害様の肝障害,あるいは偶発的再投与で肝障害が生じた場合はほぼ診断確定。
【4】定期的なAST,ALT,TB,ALP,γ-GTP値など肝機能検査を行う。投与前の初期値が重要(必要)。
【5】急性肝不全の診断基準〔「急性肝不全と類縁疾患」項(→)参照〕に当てはまれば,可及的すみやかに対応施設に搬送。
【6】副作用の重篤度分類グレード2(黄疸,肝腫大,右季肋部痛,脂肪肝の出現,TB値2.0~10mg/dL,AST・ALT 100~500IU/L,ALP ULN≧2.5~5倍)以上では入院加療。
検査所見とその読みかた
【1】末梢血:薬物性肝障害が薬物そのものや中間代謝物に対する獲得免疫により生じた場合,好酸球増加(6%以上)がみられることがある。
【2】血液生化学:肝細胞障害型ではAST,ALTの
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