診断のポイント
【1】成人発症。
【2】80%は喘息に合併。
【3】Aspergillus fumigatusに対するⅠ型,Ⅲ型アレルギー反応の存在。
【4】末梢血好酸球増多,血清総IgE高値。
【5】気管支内粘液栓や中枢気管支拡張などの胸部画像所見。
症候の診かた
【1】喘息症状の悪化:喘息コントロールの急な悪化と好酸球増多が認められることが比較的多い。
【2】咳嗽,喀痰:肺浸潤影を呈することが多く,発熱や血痰を伴うこともあるため肺炎と誤診されている場合もある。
【3】粘液栓の喀出:典型的には茶褐色を呈し,気管支の鋳型状の形態をとることもある。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:末梢血好酸球増多(≧500/μL),血清総IgE高値(≧417IU/mL)がみられるが,副腎皮質ステロイドをすでに内服していると正常化している場合もある。
【2】血清抗体価・皮膚試験:アスペルギルスに対するⅠ型アレルギーを特異的IgEまたは即時型皮膚反応,Ⅲ型アレルギーを特異的IgG(ImmunoCAP®法,補体結合法)または沈降抗体陽性(保険適用外)で証明する。
【3】喀痰真菌培養:ポテトデキストロース培地を用いることが望ましい。
【4】胸部画像検査:浸潤影,気管支内粘液栓,中枢気管支拡張,末梢肺の粒状影などの所見を呈するが,高輝度粘液栓(high attenuation mucus)は特異度が高い。
確定診断の決め手
アレルギー病態,真菌に対する血清反応,微生物学的検査,胸部画像所見を組み合わせて診断する。
❶古典的なRosenberg-Pattersonらの診断基準(表1図)の特異度は高いが,感度は低い。
❷2013年に発表された国際医真菌学会(ISHAM)の基準(表2図)では感度は比較的よいが,特異度はやや低いことに注意が必要である。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】真菌感作重症喘息
❶真菌に対するⅠ型ア
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