診療支援
診断

薬剤性肺障害
Drug-induced Lung Injury
花岡 正幸
(信州大学教授・内科学第一教室)

診断のポイント

【1】原因となる薬剤の摂取歴がある。

【2】薬剤に起因する臨床病型の報告がある。

【3】他の原因疾患が否定される。

【4】薬剤の中止により病態が改善する。

【5】再投与により増悪する。

緊急対応の判断基準

【1】呼吸不全を呈する重症例や,急速進行例は,呼吸管理を含めた全身管理が必要となる。

【2】診断困難例は,すみやかに呼吸器内科へコンサルトを行う。

症候の診かた

【1】息切れ・呼吸困難:最も頻度が高く,労作時の息切れで発症することが多い。

【2】発熱:微熱のこともある。

【3】咳嗽:乾性咳嗽が多い。

【4】ラ音の聴取:特にfine crackles(捻髪音)を聴取する場合が多い。

【5】SpO2の低下:重症例で低下する。

検査所見とその読みかた

【1】ルーチン検査:白血球(特に好酸球)の増多,C反応性蛋白(CRP)や乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇を認めることがある。

【2】間質性肺炎のマーカー:血清Krebs von den Lungen-6(KL-6),surfactant protein A(SP-A)およびSP-Dは肺障害を反映し上昇する。

【3】動脈血ガス分析:重症例ではPaO2の低下を認める。PaO2/FIO2(P/F ratio)は重症度の把握に有用である。

【4】薬剤リンパ球刺激試験(drug lymphocyte stimulation test:DLST)

❶薬剤性肺障害全体の陽性率は66.9%と報告されており,個々の薬剤により陽性率に開きがある。

❷偽陽性,偽陰性が多いため,これだけで診断することはできない。

❸薬剤性肺障害に対する保険適用もない。

【5】胸部画像検査

❶胸部X線写真:新たに出現した両側性の浸潤影やすりガラス影を呈することが多い。

❷胸部高分解能(HR)CT:診断に必須であり,特発性ないし既知の肺疾患でいえばどの疾患に類似するかにより,画像パターンを分類する。

特に,予

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?