診療支援
診断

肺分画症
††
Pulmonary Sequestration
礒部 威
(島根大学教授・内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学)

診断のポイント

【1】先天性肺疾患である。

【2】正常肺との気管支交通がない。

【3】供給血管は大動脈あるいはその分枝。

【4】無症状で,胸部検診により発見されることがある。

【5】肺葉内肺分画症と肺葉外肺分画症に大別される(図1)。

緊急対応の判断基準

【1】胎児の肺分画症では,胎児治療や,出生後早期に外科的治療が必要な場合がある。

【2】体循環からの血流を受けるために,喀血,血胸を生じる場合がある。

症候の診かた

【1】肺葉内肺分画症:正常肺の気管支との交通はないが,正常肺との境界に胸膜がないため感染を生じやすく,感染に伴い気管支交通が生じる。そのため,繰り返す気道感染を契機に発見されることがある。

【2】肺葉外肺分画症:合併する他の先天異常を機に新生児期に発見される。分画肺は消化管との交通がなければ感染を起こすことは少ない。

検査所見とその読みかた

【1】胸部単純X線写真(図2a):下肺野に結節影,腫瘤影

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