診療支援
診断

糖尿病性腎臓病
Diabetic Kidney Disease(DKD)
古市 賢吾
(金沢医科大学特任教授・腎臓内科学)

 近年,臨床的に糖尿病による腎障害と推測される場合,糖尿病性腎臓病(DKD)という用語が用いられている。一方,腎生検にて典型的な糖尿病による組織障害を認めた場合をdiabetic nephropathy(糖尿病性腎症)として使い分ける傾向がある。しかし,明確な定義や基準は定まっていない。

診断のポイント

【1】微量アルブミン尿の出現。

【2】約5年以上の糖尿病罹病期間。

【3】糖尿性網膜症の存在。

【4】早期は高度の血尿を認めない。

緊急対応の判断基準

【1】進行した糖尿病性腎症例では,高度の蛋白尿を伴うネフローゼ症候群を呈することがある。全身性浮腫に加えて,胸水が著明な場合は,緊急の対応が必要である。

【2】低酸素血症や起坐呼吸を認める場合は,挿管のうえ陽圧呼吸やECUMを含めた集中管理が必要である。

症候の診かた

【1】アルブミン尿:早期診断には,アルブミン尿測定が必須である。尿蛋白定性検査で「-」あるい

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