[Ⅰ]全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎病変(ループス腎炎)††
診断のポイント
【1】ループス腎炎は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)のさまざまな臓器障害のうちでも最も頻度が高く,ループス腎炎の合併はSLE患者の予後を左右する。
【2】SLEは20~40歳代の女性に好発する。ループス腎炎のほか,発熱,皮疹・関節症状,精神症状などさまざまな症状と,汎血球減少,リンパ球減少,低補体血症,などの所見が見られる。
【3】ループス腎炎は,免疫複合体が糸球体内皮下,上皮下,メサンギウム領域に幅広く沈着することにより生ずる。
症候と検査所見の診かた
【1】腎所見としては,さまざまな程度の検尿異常(腎炎性尿所見)と腎機能低下があり,急速進行性腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)やネフローゼ症候群を呈するほか,一部は慢性の経過をたどる。
【2】SLEの診断基準では,尿所見として0.5g/日または3+以上の蛋白尿,および血尿・多彩な円柱尿,の2つが挙げられている。ただし,ネフローゼが主体で血尿が目立たない場合(特にⅤ型)や,尿細管間質性腎炎が主体の場合もある。
確定診断の決め手
【1】SLEの診断は,米国リウマチ学会のSLE分類基準(1997年),または,SLICCの新分類基準(2012年)に基づく。
【2】ループス腎炎の確定診断は腎生検によってなされる。さまざまなタイプの免疫複合体型糸球体腎炎が見られ,分類は,光学顕微鏡所見に基づく国際腎臓学会(ISN/RPS)の組織分類(Ⅰ型~Ⅵ型)に従う。このとき,急性または慢性変化の評価も行う。
[Ⅱ]ANCA関連血管炎・腎炎††
診断のポイント
【1】抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関
関連リンク
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- 今日の診断指針 第8版/全身性エリテマトーデス
- 今日の診断指針 第8版/Sjögren症候群
- 新臨床内科学 第10版/2 巣状分節性糸球体硬化症
- 今日の治療指針2023年版/尿細管間質性腎炎(急性,慢性)
- 新臨床内科学 第10版/1 顕微鏡的多発血管炎
- 今日の治療指針2023年版/抗糸球体基底膜抗体病(グッドパスチャー症候群)
- 新臨床内科学 第10版/4 抗糸球体基底膜(GBM)病
- 新臨床内科学 第10版/2 関節リウマチに伴う腎病変
- 今日の診断指針 第8版/急速進行性腎炎
- 今日の診断指針 第8版/IgA腎症・紫斑病性腎炎(IgA血管炎)
- 今日の小児治療指針 第17版/急速進行性糸球体腎炎