診断のポイント
【1】真性赤血球増加症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症が代表的な疾患である。
【2】発症年齢の中央値は60~65歳であるが,本態性血小板血症は若年者でもみられる。
【3】真性赤血球増加症,本態性血小板血症:1系統以上の血球増加がみられる。
【4】原発性骨髄線維症:肝脾腫や末梢血に涙滴的赤血球や赤芽球(白赤芽球症),芽球の出現がみられる。
【5】骨髄生検によって,病型の鑑別とともに,JAK2,CALR,MPL遺伝子変異の検索が必要である(わが国ではこれらの遺伝子検査は保険適用外)。
症候の診かた
【1】真性赤血球増加症(polycythemia vera:PV)
❶汎血球増加をきたすが,なかでも赤血球増加が著明である。
❷総血液量の増加,および血液粘稠度の増加が原因で,頭痛,頭重感,赤ら顔,耳鳴りなどの症状がみられる。
❸合併症として,高血圧,血栓塞栓症,出血などがある。
【2】本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)
❶持続的な血小板増加がみられる。
❷約半数の症例は診断時無症状で,血液検査値異常で偶然みつかることが多い。
❸症状は,血栓症と出血によるものが中心で,血栓性イベントして,脳梗塞や心筋梗塞,肢端紅痛症,血管性頭痛,めまい,頭痛などの微小血管障害による症状,出血性イベントとして消化管出血などが挙げられる。
【3】原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF)
❶骨髄中で増殖した巨核球や単球から産生される種々のサイトカインが骨髄間質細胞に作用し,骨髄の線維化を生じ,髄外造血による巨脾や無効造血による血球減少がみられる。
❷全身倦怠感や活動性の低下などの全身症状,脾腫に伴う腹部症状,血球減少に伴う動悸,息切れなどの症状がみられる。
検査所見とその読みかた
【1】末梢血
❶PV:男性ではヘモグロビン(Hb)>16.5g/dLあるい