診療支援
診断

Addison病
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Addison's Disease
宗 友厚
(川崎医科大学教授・糖尿病・代謝・内分泌内科学)

診断のポイント

【1】皮膚の色素沈着。

【2】体重減少,全身倦怠感,食欲低下,悪心などの消化器症状。

【3】低血糖,低血圧,血清ナトリウム(Na)低下,カリウム(K)上昇,好酸球数増多。

【4】女性の腋毛・恥毛脱落。

【5】血中コルチゾール低値と血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)高値。

症候の診かた

 下記の【2】【4】の症状は原発性だけでなく続発性副腎不全症でもみられる点に留意しておく必要がある。

【1】特徴的な皮膚色素沈着:原発性副腎不全症であるAddison病だけにみられる。コルチゾール低下に反応し著増するACTHを含むプロオピオメラノコルチン(POMC)関連ペプチドが皮膚メラノコルチン1型受容体を刺激するために生じる。手掌や爪床,手指の関節部位(図1)や,通常はみられない舌や歯肉など口腔粘膜,乳輪,手術痕などに色素沈着が生じる。

【2】コルチゾール欠乏症状:易疲労感,食欲不振,消化器症状(悪心・嘔吐,便秘,腹痛,下痢)に加え,精神症状(無気力,抑うつ,昏迷)や,発熱,関節痛がみられることもある。これら非特異的な症状に加え,時に低血糖,低血圧をきたす。

【3】アルドステロン欠乏症状:腎でのNaと水の再吸収低下,K排泄低下による塩喪失・脱水を生じ,低血圧を助長し,時に意識喪失に至る。

【4】副腎アンドロゲン欠乏症状:女性では腋毛・恥毛を維持する男性ホルモンがすべて副腎由来であるため,腋毛の脱落,恥毛の減少をきたす。

検査所見とその読みかた

【1】血液・生化学検査

❶好酸球数増多(>8%)が多く,正球性正色素性貧血,相対的好中球減少や相対的リンパ球増多もみられる。

❷低血糖(<70mg/dL,肝糖新生減少による)と低Na血症(<135mEq/L)が特徴的である。総コレステロール低下(<150mg/dL)や高K血症,時に高カルシウム(Ca)血症もみられる。

【2】内分泌学的検査:臨床症状と一般検査所

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