診療支援
診断

痛風
Gout
松尾 洋孝
(防衛医科大学校准教授・分子生体制御学)

診断のポイント

【1】痛風の診断

❶急性,発作性の単関節炎:痛風発作は,第1中足趾節(MTP)関節,Lisfranc(リスフラン)関節,足関節,膝関節など主として下肢の関節やアキレス腱付着部に発症し,急速に症状が増強する。数日後には自然寛解する。

❷高尿酸血症(血清尿酸値>7.0mg/dL):痛風発作時の血清尿酸値は高いとは限らないが,過去に高尿酸血症が持続した病歴が必ず存在する。

❸「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」には,1977年版の米国リウマチ学会の分類予備基準が紹介されている(表1)。

❹2015年に新しい痛風の分類基準が発表された(表2)。これらは診断基準ではなく分類基準であり,関節液検査や画像所見を含めることで,特異性を高めている。

【2】高尿酸血症の病型分類:痛風の背景にある高尿酸血症は,尿酸の腎負荷型(従来の産生過剰型),腎排泄低下型,混合型に分類され(図1),尿酸降下薬の選定の参考となる。

【3】病型分類の方法(表3)

❶尿酸降下薬投与前に,蓄尿法による尿酸クリアランスの測定などにより尿中尿酸排泄を評価して分類する。

❷臨床現場で,蓄尿法が困難な場合には,簡易法(表3脚注)により病型分類を判断する。複数回の評価が望ましく,一時尿と血液の同時検査を,できるだけ空腹時に行う。

緊急対応の判断基準

【1】痛風関節炎は一般に急性,発作性の単関節炎(図2a)であり,無治療でも通常1~2週間で自然寛解が認められるため,緊急に移送する必要性は高くない。

【2】ただし症状が激しく歩行困難が著しい場合や,発作が重積する重症例については,専門医へ紹介したほうがよい。

症候の診かた

【1】急性の発作性の単関節炎である。

【2】痛風発作は下肢に多く,第1 MTP関節,足関節,アキレス腱付着部,膝関節に発症しやすい。発赤,腫脹,疼痛が激しいときには歩行困難となる。

【3】手関節,肘関節など

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?