診断のポイント
【1】45歳未満の若年発症で,男女比は約3:1。
【2】炎症性背部痛が特徴で,安静ではなく運動で改善。
【3】遺伝的素因としてHLA-B27陽性が重要。
【4】仙腸関節のX線基準を必須とした進行例に対する診断名で,早期ではX線基準を満たさずnon-radiographic axial spondyloarthritis(nr-axSpA)とよばれる。
【5】対称性の脊椎靱帯骨棘(syndesmophyte)形成が特徴的(図1図)。
症候の診かた
【1】炎症性背部痛:40歳未満の若年者に緩徐に発症,安静で改善せずむしろ睡眠中に増悪,起床後の運動で改善,非ステロイド性抗炎症薬の反応性良好。
【2】付着部炎:腱や靱帯の付着部に圧痛(末梢なら腫脹も伴う)を認め,踵のアキレス腱付着部,腸骨稜や腸骨棘,脊椎棘突起の靱帯付着部などが好発部位。
【3】体軸の可動域制限:腰椎の可動域制限(Schober試験で5cm以下),胸郭拡張制限(最大の吸気・呼気時の差が2.5cm以下)。
【4】末梢関節炎,ぶどう膜炎などをしばしば認める。
検査所見とその読みかた
【1】免疫遺伝学的検査:欧米や他のアジア諸国ではHLA-B27の陽性率が5~10%であるが,わが国では0.3%程度であり,しかもASの発症はそのうちの数%以下である。逆にわが国でもAS患者の50%以上はHLA-B27陽性である。
【2】自己抗体検査:以前は血清反応陰性脊椎関節炎と総称されていたように,通常リウマトイド因子は陰性で,抗環状シトルリン化ペプチド抗体や抗核抗体も陰性であることが関節リウマチや他の膠原病との鑑別に参考となる。
【3】炎症反応検査:血液検査では赤沈やC反応性蛋白(CRP)の増加が軽度みられることが多く,特にCRPでは高感度検査で評価することが重要である。
【4】画像検査:仙腸関節や脊椎関節などの体軸関節は超音波検査に不向きであるため,