診断のポイント
【1】主症状
❶再発性口腔内アフタ性潰瘍,皮膚病変,外陰部潰瘍,眼病変を加えて4主徴である。
❷口腔内アフタ性潰瘍は他の病変に先行することが多く,ほぼ全例に出現する。典型例では口腔内アフタ性潰瘍は一度に複数出現する。また1か月間のうち半分の期間以上に出現する。
❸4主徴は出現と消退を繰り返す。急性の炎症が出現し,その後遷延して寛解する経過を反復する。
【2】副症状:関節炎,精巣上体(副睾丸)炎,腸管病変,血管病変,神経病変がある。
【3】診断には厚生労働省研究班の診断基準を用いる。
❶主症状すべてを認めるものを完全型,それ以外を症状の数により不全型とする(表1図)。
❷4主徴や副症状は同時には出現しないことから,不全型の診断基準に足りない疑い例の診断基準も設けられている。
❸Behçet病の特異的検査所見はないため,他疾患の鑑別が重要である。
緊急対応の判断基準
【1】眼発作時,特に視力障害をきたした場合:眼科に移送する。
【2】腸管病変の穿孔が疑われる急性腹症,肺動脈病変からの出血が疑われる喀血,肺血栓症が疑われる胸痛や低酸素血症など:緊急対応を要する。
症候の診かた
【1】Behçet病の臨床症状
❶4つの主症状(再発性口腔内アフタ性潰瘍,皮膚病変,外陰部潰瘍,眼病変)と副症状(関節炎,精巣上体炎,腸管病変,血管病変,神経病変)である。
❷これらの病変は同時に出現することはまれであるため,以前の病歴の聴取と経時的経過観察が重要である。
❸いずれの症状も非典型的所見を呈するものは症状としてカウントしない。
【2】口腔内アフタ性潰瘍:痛みを伴う潰瘍で,瘢痕を残さず治癒する。ほぼ全例に認められ,初発症状として最も高率に認められる。典型例では口腔内アフタ性潰瘍は一度に複数出現する。また1か月間のうち半分の期間以上に出現する。
【3】皮膚症状:下肢に好発する結節性紅斑,顔面,頸部,背部などにみられる毛
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