診療支援
診断

混合性結合組織病
††
Mixed Connective Tissue Disease (MCTD)
渥美 達也
(北海道大学大学院教授・免疫・代謝内科学教室)

診断のポイント

【1】循環障害を主症状とし,U1-RNP抗体が高力価持続陽性である膠原病である。

【2】臨床症状として,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),強皮症,皮膚筋炎・多発性筋炎の症状を同時あるいは経過を追って少しずつ併せもつ特徴がある。

【3】Raynaud現象および手指腫脹は必発の症状で,初発症状となることが多い。

【4】一般に重篤な臓器病変はまれであるが,肺動脈性肺高血圧症と間質性肺炎の合併は生命予後にかかわる。また,無菌性髄膜炎を併発することがある。

緊急対応の判断基準

 重篤な臓器病変を伴う場合,膠原病診療に習熟した医師のいる医療機関へコンサルトすべきである。

症候の診かた

【1】Raynaud現象

❶MCTDのほとんどの患者で初発症状であり,必発の症候である。

❷寒冷刺激あるいは精神的ストレスによる手指動脈の可逆的スパスムがその病態である。手指は,蒼白色,チアノーゼ,紅潮色を経て数分で正常の色調に戻る。

【2】手指腫脹

❶ソーセージ様腫脹とよばれ,MCTDの特徴的な所見である。

❷手指全体および手背に中等度から高度の浮腫が長期間みられる。

【3】SLE様症状

❶微熱または高熱がしばしばみられ,またループス皮疹がみられることがある。

❷非破壊性の多関節炎は頻度が高い症候である。

❸急性または亜急性の漿膜炎(胸膜炎あるいは心囊炎)が出現することがある。

❹一方,中枢神経症状は後述する無菌性髄膜炎以外はまれであり,ネフローゼ症候群や腎機能障害を伴う腎炎もまれである。

【4】強皮症様症状

❶手指に限局した皮膚硬化,食道や腸管の機能障害がしばしばみられる。

❷肘より中枢の皮膚症状,強皮症腎,心筋障害などの重篤な症候はほとんどない(これらがあれば,MCTDではなく強皮症と分類されるため)。

【5】筋炎様症状

❶上下肢の筋痛,筋脱力の自覚症状が出現することがあ

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