診療支援
診断

接触皮膚炎
Contact Dermatitis
関東 裕美
(東邦大学医療センター大森病院皮膚科・臨床教授)

診断のポイント

【1】皮膚に接触した物質による皮膚症状。

【2】刺激反応とアレルギー反応。

【3】紫外線が関与することもある。

【4】接触部位を越えて全身性に拡大することもある。

【5】まれにじん麻疹型発症のこともある。

症候の診かた

【1】急性刺激性接触皮膚炎,化学熱傷:接触部位に限局した熱傷様の皮膚症状で,本来直接の接触は避けるべき物質に接触してしまって生じたもの。疼痛,刺激感,熱感を伴う発赤を訴え受診する(図1)。

【2】日常生活で接触が続いている物質による皮膚症状

❶慢性刺激性接触皮膚炎:バリア機能障害による皮膚症状で,皮膚の乾燥,粗糙,落屑や亀裂が目立つ主婦湿疹が典型的。

❷アレルギー性接触皮膚炎:漿液性丘疹がみられるのが特徴で,湿潤性紅斑局面を混じて,次第に皮膚症状は接触部位を越えて周囲に拡大伝播するようになる。

【3】接触皮膚炎症候群:職業性接触皮膚炎では,就業後かゆみを感じていても対症加療をしながら継続していることが多い。接触物質の持続曝露により経皮感作が進んでしまい全身性に皮膚症状が拡大すると,接触皮膚炎症候群と診断する。重症例では入院加療が必要な症例もある(図2)。

【4】紫外線の関与で生じる接触皮膚炎:光毒性,光アレルギー性反応を生じる化学物質(非ステロイド系抗炎症外用薬,サンスクリーン,香料や菊など)が知られているが,それらの持続的な接触と紫外線照射により生じる。

検査所見とその読みかた

【1】血液検査(アトピー素因の確認):非特異的IgE,食物系アレルゲン項目,吸入系アレルゲン項目,職業系アレルゲン項目などの特異的IgEの測定やTARC(thymus and activation-regulated chemokine)の測定でアトピー性皮膚炎とのかかわりや皮疹の重症度の判別をする。

【2】皮膚検査:被疑物質の確認は,原則として皮膚炎治療後に被疑物質を健常皮膚(背部か上腕)

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