診療支援
診断

痒疹
Prurigo
佐藤 貴浩
(防衛医科大学校教授・皮膚科学講座)

診断のポイント

【1】かゆみの強い丘疹が散在している。

【2】丘疹は原則として癒合しない。

【3】痒疹丘疹は湿疹丘疹のように変化せず,搔破によって頂点にびらんや痂皮を伴うことはあっても,膿疱形成,鱗屑,落屑などの所見を呈さない。

症候の診かた

【1】一般的な痒疹では,かゆい丘疹が散在性にみられる。慢性に経過することはあっても,個々の丘疹はおおむね2~3週間で消退する。

【2】結節性痒疹(図1)

❶角化性ドーム状に隆起する径1cmほどに及ぶような紅褐色結節が特徴である。

❷主に四肢伸側にみられるが,糖尿病や透析患者などでは体幹にみられることも多い。

❸個々の結節は数か月にわたって持続する。

【3】多形慢性痒疹(図2)

❶腹部,腰部に好発する。

❷病変は大豆大程度の紅色じん麻疹様丘疹や紅褐色充実性丘疹で,これらは集簇することがしばしばで,癒合して苔癬化を呈する。この点において痒疹としては例外的な病型である。

検査所見とその読みかた

 痒疹の確定診断に有用な末梢血液検査はない。

確定診断の決め手

 臨床症状が重要だが,時に皮膚生検によって確認することが必要である。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】疥癬()

❶病変が痒疹丘疹に相当するため,誤診しやすい。

❷陰囊,腋窩に丘疹・結節がみられたり,手関節屈側,指間の丘疹,線状・蛇行状皮疹がみられたりするときは本症を考え,虫体,虫卵の検鏡による検出を試みる。

【2】類天疱瘡()

❶結節性痒疹と思われても,一部に緊満性水疱の形成などがみられたら結節性類天疱瘡を疑う。

❷多形慢性痒疹と思われても,紅斑性病変が目立つ場合には疑う。

❸生検所見に加えて,蛍光抗体直接法,蛍光抗体間接法を試み,さらに抗BP180抗体,抗BP230抗体を測定する。

治療法ワンポイント・メモ

【1】痒疹の誘因の特定

❶虫刺され,腎障害,肝障害,糖尿病,悪性腫瘍(悪性リンパ腫,白血病など),金属アレルギー,薬

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?