診断のポイント
【1】比較的境界明瞭な角化性の紅斑。
【2】髪の生え際,耳,肘,膝,殿部,下腿,爪に好発。
【3】外的刺激を受けやすい部分の皮疹増悪。
【4】20歳以上が多い。
【5】10~15%に関節炎。
症候の診かた
【1】皮疹
❶厚い鱗屑の付着した境界明瞭な紅斑で,皮表からの盛り上がりを認めることが多い(図1図)。
❷これらの特徴がはっきりしない非典型的な皮疹を見た場合には,診断のポイントで挙げた好発部位に典型的な皮疹を探す(図2図)。
❸皮疹の特徴として,固着した鱗屑を剝がすと点状の出血点を認める(Auspitz現象)。
❹生活習慣のなかで外的刺激を頻繁に受けている部位にはKöbner現象を反映して,難治な皮疹を認める。
【2】爪
❶爪甲剝離,爪角質増殖,点状陥凹,爪白濁などの爪症状を約半数で認める(図3図)。
❷これらの爪症状は乾癬に特異的ではないが,乾癬との鑑別が問題になる症例において,重要な所見である。爪白癬との鑑別目的に真菌鏡検を行う。
【3】関節炎
❶関節リウマチと比較すると,1)大関節よりもDIP関節を侵すことが多い,2)非対称性の関節炎,3)滑膜炎ではなくて付着部炎,4)脊椎炎の頻度が高い,などの違いがある。
❷発症にかかわる因子として,1)皮疹面積が広い,2)肥満,3)臨床予測因子の皮疹(爪症状,頭皮症状,殿裂部や肛門周囲の皮疹),などが挙げられており,こうした特徴を有する患者では,関節炎の合併により注意が必要である。
検査所見とその読みかた
【1】乾癬の病理所見
❶典型例の臨床診断は臨床像(皮疹の形状とその分布)から容易であるが,非典型的皮疹を呈する症例では生検が有用である。
❷乾癬の病理組織像は不全角化を伴う角質肥厚,好中球からなる角層下微小膿瘍,顆粒層の消失と表皮突起の棍棒状の延長,真皮乳頭層の上方への突出,真皮上層の毛細血管拡張,炎症細胞浸潤を特徴とする。
【2】乾癬性関節炎の画像所見