WHO分類にて良悪性中間群に分類される局所侵襲性が非常に高い線維芽細胞増殖性軟部腫瘍。腹壁デスモイドと腹壁外デスモイドに分類される。臨床上問題になるのは腹壁外デスモイドである。
診断のポイント
【1】若年成人から高齢者まで幅広い年齢層で性差なし。
【2】数か月から1年程度で増大する軟部腫瘤。
【3】全身のどの部位にも発生しうる。
【4】局所浸潤性が高い。
【5】非常に硬い腫瘤で多発性のこともある。
症候の診かた
【1】触診にて非常に硬く可動性がない腫瘤を触れる。
【2】一般的には疼痛はなく,疼痛を伴うことはまれである。
【3】主病巣の周囲に娘病巣(skip lesion)を伴うことがあり,多発性に腫瘤を触れることがある。
検査所見とその読みかた
【1】単純X線写真:特徴がない透過性の低い軟部腫瘤を認める。局所浸潤性が高く,骨へ癒着する場合は骨への圧痕や侵食像を認める。
【2】MRI:通常,T1強調画像で低信号,T2強調画像でも多くの領域は低信号を示し等信号から高信号域が混在する。線維性軟部腫瘍のパターンを示す。周囲の軟部組織に浸潤傾向を認める。ガドリニウム造影では著明なエンハンス効果を認める。
確定診断の決め手
【1】組織生検による診断が必須。
【2】βカテニンの核内発現は高頻度にあり病理診断の決め手となる。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】悪性軟部腫瘍(肉腫):組織診断にて鑑別。
【2】その他の線維性軟部腫瘍:組織診断にて鑑別。
【3】手掌/足底線維腫症:手,足の腱に沿った多発性の線維性腫瘤,進行性の環指や小指の拘縮(デュプイトラン拘縮)。
確定診断がつかないとき試みること
【1】針生検にて十分な診断がつかないとき:切開生検を試み,十分な組織を採取して再検討する。軟部腫瘍の病理診断は難解なケースも多くあるので,必要に応じて骨軟部腫瘍専門の病理医へのコンサルトも行う。
【2】さまざまな軟部腫瘍との鑑別を要すこ
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