◆疾患概念
【定義・病型】
統合失調感情障害は,同一エピソード中に統合失調症,感情障害の両症状が存在する病態を指すが,DSM-5とICD-10では定義が異なる.それぞれの症状の配分ないし重畳の仕方は症例によってさまざまであり,統合失調症症状に合併する感情病症状の種類に応じて,躁病型,うつ病型,混合型(DSM-5では双極型と抑うつ型)の各亜型がある.また,統合失調症性の興奮状態と残遺状態も,それぞれ躁病症状,うつ病症状との鑑別を要する.
【病態・病因】
統合失調症や感情障害同様,原因は不明である.しかも,統合失調症や感情障害の症状を併せもつという定義のため,両障害とは遺伝的にも症候論的にも重なりが大きい.なかには病像がそのつど変化して,全体として統合失調症や感情障害の経過の一部と見なせるものもあれば,どちらにも移行せずに統合失調感情障害のエピソードを繰り返すものもある.
【疫学】
統合失調感情障害はもともと内容的に不均一な病態であることに加え,厳密な診断自体が難しいため,ICD-10を用いても入院患者の非器質性非感情病性精神病全体に占める割合は,8.3-33.4%とばらつきが大きい.生涯有病率は統合失調症より低い0.5-0.8%と見積もられている.うつ病型は高齢者に多く,躁病型は若年成人に多いとされる.性差に関しては女性に多く,発症年齢は統合失調症同様に女性が高い.
【経過・予後】
毎回,統合失調感情障害・躁病型エピソードのみを反復するといった,同じ表現型を繰り返す単一形態型と,初回のエピソードは同障害・うつ病型,2回目は同障害・躁病型,3回目は同障害・混合型など,そのつど異なった表現型をとる多形態型が区別される.統合失調感情障害の約2/3は多形態型をとり,単一形態型は1/3にすぎない.多形態型では,最初の形態変遷はすでに2回目のエピソードで生じることが多い.しかし,両経過の間には,
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