◆疾患概念
【定義・病型】
非定型精神病の概念は,満田の臨床遺伝学的研究に基づいて日本で独自に発展してきた「疾患概念」であり,近年流行の「類型学的分類」(DSMやICDなどの操作的診断)とは全く異なる.
Kraepelinは内因性精神病を統合失調症と躁うつ病とに二分したが,満田は「統合失調症」概念をいったん解体したうえで,個々の症例を詳細に観察しながら,特徴的な臨床症状や経過の類似した症例を集め,いくつかのグループにまとめ上げた.そして,それらのグループを順次,再編・整理しながら,統合失調症と称される疾病を定型群と非定型群の2型に分類している.定型群(定型の統合失調症)はおおむね破瓜病に類似し,若年発症で潜行性の経過をとり,陰性症状を主とする欠陥状態に陥るが,一方の非定型群(非定型精神病)は急性の発症で周期性の経過をとり,緊張病症状や錯乱状態を呈して何らかの意識変容が疑われることが多い.この両群を比較したとき,非定型群における病前性格は疎通性がよく,発症にはしばしば誘因を認め,抗精神病薬に反応しやすく,電気けいれん療法(ECT)が奏効する場合が多い.そして,予後は一般に良好である.
満田は,さらなる詳細な家系内精神病の調査によって,定型の統合失調症と非定型精神病とが遺伝的に互いに独立した疾患である可能性を指摘し,非定型精神病では家系内にてんかんや躁うつ病の出現する頻度が高いことや,てんかん性異常脳波の出現,さらにその症状の特徴として挙げられる意識障害などから,てんかんとの密接な関係を強調している.
なお,再発と寛解を繰り返しながら急激に人格の解体に陥る緊張病性精神病を,満田は当初,定型群と非定型群との中間にある「中間型」と呼んで区別していた.しかし,彼は最終的に,遺伝様式の類似からこれらを非定型精神病に含めている.
【病態・病因】
筆者らはこれまで,CT,SPECT,MRIなど
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