◆疾患概念
【定義・病型】
レビー小体型認知症は,もともと筆者らが提唱した「認知症とパーキンソン症状を主体とし,大脳皮質から脳幹まで多数のレビー小体が広範に出現するびまん性レビー小体病diffuse Lewy body disease」を基礎として発展してきた概念で,1996年にDLBという名称と診断基準が提唱された.2005年にはその改訂版が発表され,現在はこの臨床診断基準(表1)図が使用されている.筆者らが提唱したように,パーキンソン病,認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson's disease with dementia; PDD),DLBを含めてレビー小体病Lewy body diseaseと総称されるようになった.
病型としては,レビー小体の分布に従って,びまん性新皮質型,辺縁型(移行型),脳幹型,さらに大脳型に分類されている.
【病態・病因】
最近では,DLBはLewy body diseaseの一型と考えられるようになり,中枢神経系・自律神経系に広範に出現するレビー小体とレビー神経突起Lewy neuriteからなるレビー病理Lewy pathology(これらはα-シヌクレインという蛋白からなる)により特徴づけられ,パーキンソン病では主に脳幹に,DLBでは脳幹のみならず大脳皮質にもレビー病理が広範に出現し神経細胞の脱落が起こり,認知症やパーキンソン症状が起こる.レビー病理はさらに自律神経系にも広範に出現し,レビー病理の出現状況により自律神経症状を主体とするpure autonomic failure,パーキンソン症状を主体とするパーキンソン病,精神症状や認知症を主体とするDLBがあることになる.
【疫学】
DLBは三大認知症の1つで,欧米でもわが国でもアルツハイマー型認知症に次いで多い第2の認知症である.DLBの臨床診断が難しいこと,DLBがまだ十分知られ
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