加齢により睡眠に生じる変化
◆疾患概念
【定義・病型】
加齢現象は身体面,精神面にさまざまな形で表れるが,睡眠にも加齢による変化が生じる.主観的には寝つきが悪い,何度も目が覚める,朝早く目が覚めるといった訴えが増える.終夜睡眠ポリグラフ検査による客観的な評価では,夜間の総睡眠時間の減少,入眠後の総覚醒時間の増加と睡眠効率(夜間に就床している時間のうち,実際に眠っている時間の割合)の低下がみられる.また浅い睡眠(睡眠段階1,2)の割合が増え,深い睡眠(徐波睡眠)が減少する.これらの変化から,中途覚醒や熟眠障害などの自覚に結びつくことがある.
【病態・病因】
加齢による変化は体内の概日リズムをコントロールする時計機構(生物時計)にも生じる.その結果,深部体温の振幅の減少や就床・起床時刻の位相前進(早寝早起き傾向)といった現象が起きやすい.また高齢者では全体的な活動量が低下しやすく疲労感が少ないため,
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