◆疾患概念
【定義・病型】
大脳皮質基底核変性症(CBD)はその名が示す通り大脳皮質と大脳基底核の多くの部位に病理変化をみる進行性の神経変性疾患である.CBDの臨床上の特徴である運動・認知機能障害は進行性核上性麻痺progressive supranuclear palsy(PSP)に重なり合い,病理変化はピック病の特徴を共有する.そのため本疾患はPSPとともに前頭側頭葉変性症frontotemporal lobar degeneration(FTLD)のスペクトラム症候群ないしはオーバーラップ症候群と考えられている.また,CBDはタウ蛋白がニューロンとグリアに蓄積する4リピートタウオパチーに分類され,FTLDの病理学的3亜型のうちFTLD-tau(タウ陽性封入体を有するFTLD)に強い関連性をもつ臨床症候群の1つに挙げられている.
CBDの表現形は2型が知られている.非対称性の運動症状や側性化した認知機能障害を呈する大脳皮質基底核症候群(CBDS)と両側前頭葉性認知機能障害およびパーキンソン症候群をきたす認知症化大脳皮質基底核症候群である.後者に関してはほとんど何も知られておらず,死後診断が一般的である.
ここでは「大脳皮質基底核変性症」を病理学的に確定された診断名として用いる.
【病態・病因】
CBDの発病機序は依然として不明である.これまでに判明しているCBDの臨床・解剖・病理をまとめると以下のようになる.
・認知・行動障害:非流暢性失語,前頭葉性実行機能障害,半側空間無視(まれ),観念運動失行,観念失行,肢節運動失行,皮質性感覚障害.
・精神症状:うつ病,アパシー,脱抑制,不安,強迫性障害.
・運動障害:非対称性パーキンソニズム,核上性注視麻痺,ミオクローヌス,他人の手徴候,ジストニア,姿勢の不安定.
・病変部位:前頭葉内側領域および弁蓋部,頭頂葉(時に),大脳基底核.
・病理:
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