◆疾患概念
【定義・病型】
鎮痛薬analgesicとは,痛みを緩和,除去する医薬品の総称であり,中枢,末梢神経系にさまざまな作用を示す.鎮痛薬の種類は多種多様であるが,主なものに非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs),オピオイド,鎮痛補助薬などがある.
NSAIDsは疼痛,炎症を伴う疾患に対して,さまざまな臨床科で使用されている薬剤である.薬理作用としてはシクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によるプロスタグランジンの合成抑制である.オピオイドは麻薬性鎮痛薬や,その合成鎮痛薬などのアルカロイド,モルヒネ様活性を有する内因性または合成ペプチド類の総称である.麻薬性鎮痛薬としては,モルヒネ,フェンタニル薬薬,オキシコドン,コデイン,トラマドールがあり,麻薬拮抗性鎮痛薬にはペンタゾシン薬,ブプレノルフィン薬薬がある.
鎮痛補助薬とは本来,鎮痛薬として分類されていないにもかかわらず,特定の痛みに対して鎮痛作用を発揮したり,他の鎮痛薬の作用を増強したり,あるいは鎮痛薬の副作用を改善させるなどの特徴をもつ薬剤である.鎮痛補助薬には抗けいれん薬や,向精神薬,睡眠薬,鎮痙薬,消炎酵素薬,血管作動薬,漢方薬がある.
ここではNSAIDsとオピオイドについて記載する.
【病態・病因】
引き起こされる精神症状の病態はそれぞれの薬剤によって異なる.
NSAIDsが精神症状を引き起こす原因は不明であるが中枢神経のCOX-2阻害により,ドパミン系に影響を及ぼし,その結果,精神症状を引き起こすのではないかと推測されている.しかし,すべての症状をドパミン伝達系のみで説明するのは困難なため,その他の機序も考えられる.
一方,モルヒネ,オキシコドン,フェンタニル薬薬などの多くのオピオイドの鎮痛作用は,主にμオピオイド受容体を介して発現する.μオピオイド受容体は扁桃体,帯状回,側坐核などに高密度に存在しているので
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/フェンタニル《デュロテップ》
- 治療薬マニュアル2024/フェンタニル《デュロテップ》
- 治療薬マニュアル2023/フェンタニル《ワンデュロパッチ フェンタニル1日用テープ》
- 治療薬マニュアル2024/フェンタニル《ワンデュロパッチ フェンタニル1日用テープ》
- 治療薬マニュアル2024/ペンタゾシン《ソセゴン》
- 治療薬マニュアル2024/ブプレノルフィン塩酸塩《レペタン》
- 治療薬マニュアル2024/ブプレノルフィン《ノルスパン》
- 治療薬マニュアル2024/セレコキシブ《セレコックス》
- 治療薬マニュアル2024/インドメタシン《インテバン》
- 治療薬マニュアル2024/ハロペリドール《セレネース》
- 治療薬マニュアル2024/リスペリドン《リスパダール》
- 治療薬マニュアル2024/クエチアピンフマル酸塩《セロクエル》
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/5 SSRI,SNRIとセロトニン症候群
- 今日の治療指針2023年版/ブロチゾラム
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/抗不安・睡眠薬による精神症状
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/抗潰瘍薬による精神症状
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/抗不安薬
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/睡眠薬
- 今日の小児治療指針 第17版/在宅での終末期の症状コントロール(精神症状を含む)