Ⅰ.尿閉
◆疾患概念
尿閉urinary retentionは尿が膀胱に充満しているが排出できない状態である.原因はさまざまであるが,精神科領域では向精神薬(特にフェノチアジン系抗精神病薬,三環系抗うつ薬)による薬剤性の頻度が高い.また精神疾患患者に多い重度の便秘も尿閉のリスクとなる.
◆診断のポイント
尿量減少,下腹部膨満,腹痛.残尿過多に起因する頻尿が先行することもある.腹部エコーで膀胱充満を確認することで,無尿との鑑別が可能である.腹部エコーが施行できない場合は,導尿により診断的治療を行う.
◆治療方針
A.導尿
・長期間の留置目的:バルーンカテーテル14-20F
・一時的な導尿目的:ネラトンカテーテル6-12F
挿入できない場合は尿道損傷のリスクがあるため,無理をせず泌尿器科医にコンサルトする.
B.前立腺肥大の治療
男性患者に多い前立腺肥大が尿閉のベースとなる場合は,前立腺肥大の治療を行う.
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